日本財団 図書館


 

則である。
つまり、事業所得については、その国にある恒久的施設に帰属する所得に対してのみ、その国で課税される。言い換えれば、一方の国の企業が他の国にある恒久的施設を通じて得た所得についてのみ当該恒久的施設の所在する国で課税され、それ以外の場合には相手国で課税されない。
例えば、これら国外に存する恒久的施設(支店等)を通さないで本国の本店が直取引によって生じた所得については、恒久的施設があったとしてもその部分については、恒久的施設があったとしてもその部分については、相手国では課税されない。
したがって、恒久的施設に該当するか否かが重要なポイントとなる。
この恒久的施設とは「事業を行う一定の場所であって企業がその事業の全部または一部を行っている場所」とされ、これには、外形的な概念から事業を行う一定の場所としての事業の管理の場所、支店、工場等のほか鉱山、油井、ガス井、その他天然資源を採取する場所、建設工事現場を、また、事業活動を行うという機能的な概念から常習的に契約締結権を有する代理人等も含めている。
なお、恒久的施設の範囲については、現実の租税条約交渉の場では、課税権を留保しようとする開発途上国等はその範囲を広く規定しようとする考えがあり、他方先進国は、モデル条約の範囲に止めるべきであるとする意見があり、議論になる場合もある。
b 投資所得
租税条約においてはそれぞれの所得類型ごとにそれぞれの条項がたてられており、それぞれの所得について源泉地国、居住地国課税にそれぞれ振り分けているのが一般的である。
しかし、投資所得としての、配当所得、利子所得及び使用料所得については、条約締結国間の資本交流の状況を敏感に反映するため、源泉地国と居住地国との間にその課税権をどのように配分し、調整するかが困難な問題となる。
つまり、経済状況がほぼ同等で資本交流の状況も対等に行われるような先進国間においては、源泉地国における課税権を相互に軽減することによりある程度の二重課税は回避されることとなる。
しかし、経済的な発展に著しく格差があり、また、資本の流れが一方釣となるような先進国と開発途上国との間にあっては、相互主義による税率の軽減があってもその資本の流入量の影響を受けて実質的には開発途上国に対して多額の減収額を生ずることとなる。
そこで、先進国と開発途上国との利害の均衡を考慮し、双方の国でなんらかの方法により課税権を配分するとともに、単に二重課税を排除するということを超え、さらに両国の経済政策全体を考慮して調整することとしている。
このような理由からこれら投資所得については、課税権を源泉地国と居住地国

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION